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AIは仕事を奪わない AI社会は顧客と一緒に作る――ソフトバンクに聞くAI事業の最前線 後編

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AIは仕事を奪わない AI社会は顧客と一緒に作る――ソフトバンクに聞くAI事業の最前線 後編

前回はIBMが提供する「IBM Watson」について、ソフトバンクがどのような取り組みを行っているか、ソフトバンクの重政信和氏と、三上美紀氏にお話を伺いました。2回目となる今回では、今後のAIが向かう方向についてお伺いします。

 

 

  • 現場担当者がAIの理解を深めることの重要性

――導入事例の一つとして、ロッテ様のガーナチョコレートを使った手作りレシピを教えてくれるチャットボットはユニークな試みですね

 

重政:大手企業様の非常に有名な商品ですので、そこでのAIへの取り組みは、顧客満足度の向上だけでなく、質問ログの中からお客様の要望を知るなど、マーケティング上では大きな効果が期待できるのではないかと思います。

 

三上:ロッテ様からは、チャットボットの導入後も、新しいテクノロジーを使って、お客様とのコミュニケーションをどう深めていくのか、現場の部門の方に伝えてほしいという依頼をいただき、マーケティング部門の研修に参加して、お話をさせていただきました。

 

こうした取り組みは非常に重要で、IT部門だけがAIに詳しくなるだけではなく、事業部門の現場の方にもAIについて理解を深めていただくことが大切だと感じています。実際に業務に携わる現場の方の協力がなければ、本当に使えるものにはならないはずです。現状、AIを推進される方の多くは、周囲がAIを正しく理解できていないことから孤独な状況に陥りがちですが、社内に同じようにイノベーションを起こす人達が増えれば、孤立せずに力を発揮できるのではないでしょうか。ロッテ様も、そのようなシステムを作りたいとおっしゃっていました。

 

重政:このような現場の部署との取り組みを通じて「新しいことをやるならソフトバンクに相談してみようか。」と思ってもらえるといいですね。

 

特に、今回、現場のご担当者様とご一緒できたことの意義は大きかったです。こうした現場の部署へのアプローチは、今後も取り組んでいきたいと思います。

 

三上:ソフトバンクは携帯電話会社というイメージが強いので、総務部門などとはつながりが深い一方、それ以外の部署には営業で入り込みにくい状況でした。しかし今回現場の部署の方とコミュニケーションが取れたことで、現場にこそニーズがあると強く感じました。

 

重政:周囲で流行れば自社でもやります、という会社は多くあります。しかし、それでは遅いように思います。AIの活用状況においても、グローバルと比べれば日本は明らかに遅れています。お客様にも、いまからAIに触るのでは1年半遅いという気概で接しています。

 

AIに限らず、新しいテクノロジーやツールが流行ったときに、「すでに何人かの社員が触っている」「知っている」という会社こそ生き残っていけると思っています。ロッテ様のような取り組みをされる企業様が、増えるとAI活用はもっと進んでいくのではないでしょうか。

 

  • 誰でもできるをサポートする

――Watsonの技術的な利点はどこにありますか

 

重政:ソフトバンク社内での活用事例には、                            

・人事部門での新卒採用エントリーシートの確認判定

・見積書作成

などがありますが、実はどれもAIやITの専門部署ではなく業務部門の担当者が作りあげたものなのです。

 

AIの素人でもレクチャーを受けて使い方をマスターすれば、自分で業務活用に取り込むことができるのは、Watsonの大きな利点ではないでしょうか。

 

だからといって、すぐ誰でもできるのかというとそうではありません。エンジニアのサポートとハンズオン(体験研修)は必要です。

業務部門の担当者の方でも、気軽にAIを扱えるようになる為に、

・いかにプロジェクトの立ち上げをサポートできるか

・サービスのアカウントを取ったものの、何も使わずに終わってしまわないか

ここを、どう支援していくかをパートナー様と考えています。

 

まずは、現場社員が自身の業務にAIを取り入れるという文化を、お客様にも持っていただく、これをどう作るかが重要です。ソフトバンクだけではなく、パートナー様を増やし、一緒にサポートする戦略にも取り組んでいます。

 

三上:先日、外部でセミナーを行ったのですが、

「パートナーさんと二人三脚で作りました」

「パートナーさんがいてよかったです」

など、お客様から、サポートするパートナー様の存在の大切さの声を多くいただきました。

 

このセミナーは「現場発ボトムアップセミナー」として、現場でのAI活用にフォーカスし、現場社員の方が中心となってAI活用を推進することの必要性と取り組み方をご紹介させていただきました。

 

実際にAIを活用するのは現場の方です。

 

現場の方が扱いやすいツールや施策、パッケージ作りをパートナー様と、今後も続けていきたいと思っています。

 

――今後の展望をお聞きしたいのですが

重政:昨年、導入いただいた多くの企業様にAI活用を続けていただくことでユースケースを増やしていきたいですね。使い方がまだまだ解らないというお客様も多くいらっしゃいますので活用を促進できるよう

・ハンズオンをやってみる

・セミナーをやってみる

こういったアプローチを通して深掘りをしていきます。

 

具体的には、ソフトバンクが実際に導入したもので、効果がある事例を、社外にも展開していきます。

・「業務の工数が下がる」

・「ROI(投資利益率、投資収益率)が改善した」

・「人材育成に繋がった」

といった成果に繋がる事例を展開し、お客様の事業に貢献したいですね。こうした取り組みによりAIを活用する風土も自然と育っていくと思います。

 

 そのためにはテクニカルなコンサルタントが必要なので、日本サード・パーティさんのような専門性の高い会社さんと連携しながら、ハンズオンではどういうメニューがお客様にささるかとか、ブラッシュアップしながら作っていければと考えています。

 

 

  • AIとロボットの違いAI導入での壁とは

――お客様に話すときに気をつけることはあるのでしょうか

 

重政:お客様の期待値コントロールです。

AIが万能なものと思っている方が、現実のビジネスで使えるまでAIのレベルを落として考えるのは難しいので、

・AIにできること

・AIにできないこと

この2つを最初に説明することが多いです。

 

現在のAIは、

「完全に人と置き換わるものではありませんし。人のサポートをするレベルものです。」

学習データを扱うのも人間ですし、AIを育てていくのも人間ですから、人がやることは決して0にはならないです。

 

たしかに内容によっては

・99%工数を削減できる

・50%工数を削減できる

といったケースもありますのでお客様によって、AIに対する認識には違いがでてくるのだと思います。

まずは業務分析をして、置き換わるところを明確にして、説明をする必要があるのです。

 

三上:今、注目されているRPA(ソフトウエアロボットでの業務自動化)に例えると解りやすいかしれません。

・人がやるべきところ

・機械がやるべきところ

これらを業務フローで見たとき、

・ここはRPAでできる

・ここは人じゃないとできない

と切り分けられます。

 

「得意なところを得意なものにやらせる」

これを、どう行うか、どう形にするか、そこをお話しさせていただいています。

 

たとえば、「この仕事を自動化できませんか?」というような、漠然とした相談の場合も、

業務フローを紐解いて切り分けると、ご理解をいただけます。

 

ただ、現場の担当者の方は、自分たちの業務フローを整理することになれていないケースが多く、そこを正しく把握し、共有していくことがRPAやAIを活用していく上で必要なのだと、改めて気づかれているようです。

 

重政:

AI導入は、業務課題とフローを意識し、どの業務に「AI」「RPA」が通用するかをまず整理することが大事です。

 

ですが、お客様の中には、この工程をスキップしたい企業さんも多くあります。

こうしたお客様には「パッケージ商品」を用意していますが、AI活用・導入提案の本来の姿は、パッケージを売ることではなく、課題を解決する取り組みそのものなのです。

 

  • AIは、スモールスタートが基本

――AIの導入は大きなビジョンを立てるのではなく、できるところから入れるのが理想ですね

 

重政:必ずスモールスタート、そして現場発です。「半年後に成果を出せ」といった上からの指示はAI導入の大きなプレッシャーになります。

 

本来は、業務をしつつ2割くらいで業務改革をしていくべきではないでしょうか。業務改革が10割だと、結果は違う方向に行ってしまいます。

 

どの企業様でも2割程度の改善活動は、常にやっておられると思います。その位の改善活動の取り組みがあれば、AIを導入してもスムースに取り込んでいけます。

トップダウンで改善活動、全部を置き換える改善といった、大きな取り組みでなければ、現場発で徐々にやっていくことができます。AIやRPAは、そうした改善活動の中の1つのツールなのです。

 

 

  • AIとRPAは、次の戦略事業のコアとして外せないもの

――AIとRPAを絡めたデジタルトランスフォーメーションへの展望を聞かせてください

 

重政:ソフトバンクはこれまでも新しいテクノロジーを扱ってきましたので、特段デジタルトランスフォーメーションという意識はありませんが、AIとRPAは、今後の戦略上コア事業の一つと位置づけています。社内にはRPAの推進部署もありますし、互いにコラボレーションし、それらを掛け合わせてプロダクトやソリューションを作っていこうとも思っています。

 

また、ソフトバンクがすでに提供しているロボットやIoTなどと組み合わせたソリューションも視野にいれています。

 

 

 

  • AIが当たり前となる時代へ向けて

――それらを通じて社会をこう変えたいというようなビジョンはありますか

 

重政:そこまでおこがましいことではないですが、現在のAIを取り巻く環境は、お客様ごとにビジョンがあっても、それに最適なリソースを適用できていないように思います。

・人間がやらなくてもいいこと

・もっと効率化できるもの

これらに対して、弊社のサービスを使って業務効率化を図っていただき、お客様の事業に貢献するというアプローチです。

 

我々はAIが社会に貢献していると肌で感じています。AI活用とは、縁の下の力持ちとして、お客様の業務の土台を支える、という役割を果たすことができます。

 

三上:AIによって働き方は変わる気がします。

ユーザー部門の方の仕事のやり方やスピードがAIによって、どんどん変わっていくでしょう。AIは、それによって企業の成長に貢献できるのかもしれません。

 

固定業務や定型業務の自動化によりフリーになった時間や人が新しいことに取り組めることに貢献できる。それこそがAIの社会に与えるリアルな影響なのだと思っています。

・人がやらなくていい業務からの開放

・人がやらなければいけない業務に集中する

AIで、そうした提案ができればいいですね。

 

三上:AIという名前だけで、

・ITとは別物にみられる

・「なんだ、そんなことしかできないのか」と思われる

過小評価も、過大評価も、AIにとっては、よくありません。

 

「そんなことしかできないのか」

と言われた瞬間にAI活用の可能性も閉じてしまいます。

 

 スマホが初めてビジネスツールとして紹介されたときには、

「電話とパソコンが一緒になっているものなんていらない」

と言われました。

しかし、いまでは誰もがスマホを当たり前にビジネスツールとして使っています。

これと同じで、今後は、AIも普通に使われるものになると思います。

 

重政:5年後には

「お前AI使ってないの?」

と言われることが、当たり前すぎて恥ずかしくなる時代になるかもしれません。日常的に使われることを当たり前にすることが大事ですね。

 

今年度はWatsonを使う人数を社内で1000人に増やそうとしています。

AIを研究するような、エキスパートを1000人というわけではなく、実務でAIを使えるオペレーターレベルの人を1000人作りたいです。それができると、会社は強くなると思っているからです。

 

 

――ありがとうございました。

 

※RPA(Robotic Process Automation)とは、主にホワイトカラー業務の効率化・自動化の取組み。

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