美容業界専門の総合卸売商社である株式会社ダリアのプラットフォーム推進部が「サロンCRM戦略」を掲げ販売する、美容室の経営に特化したクラウド型CRM製品 POS lab。導入店舗数の増加に伴い増え続ける問い合わせ対応の負担が大きくなり、チャットボットの導入を検討。LINEから利用できるJTPの「Third AI コンタクトセンターソリューション」を導入することで、ユーザーによるセルフサービスの問題解決を促進し、社内の営業担当者やCRMチームへのダイレクトな問い合わせや、コールセンターへの入電数を削減しました。
これにより、美容室への迅速な情報発信と社内の業務負担の大幅な軽減を実現しました。
「Third AI導入後は、大きな問題となっていた問い合わせ対応の負担を確実に軽減できているので、今後、ダリアとして事業拡大をしていく上でも、人員を増やさずにサポートを提供できる点が最大のメリットだと考えています」
町田 浩四朗 氏
株式会社ダリア
執行役員 PF推進部 部長 兼 データ戦略室室長
導入前の課題
- ✔社内へのダイレクトな問い合わせの増加による担当者の業務負担
- ✔緊急時や電話だけでは説明が難しい問い合わせへの対応
- ✔今後の案件拡大に対する備え
導入効果
- ✔セルフサービスの問題解決による担当者の業務負担の軽減
- ✔わかりやすいインターフェースと、動画、画像、資料を活用した回答にる迅速な問題解決
- ✔人員を増やさずにサポート提供できる環境の実現
導入サービス/ソリューション/製品
- ✔AIチャットボット Third AI コンタクトセンターソリューション
- ✔カスタマーサクセス
美容室の売上への貢献と
営業スタイルの革新を目指す「サロンCRM戦略」
戦後間もない1946年、「人々の生活文化をより美しく豊かにすることに貢献したい」という想いから福岡でスタートした美容業界専門の総合卸売商社である株式会社ダリア。現在、九州、関東、関西、中四国、中部エリアに支社を持ちビジネスを展開する同社は、美容材料や業務用機材の卸売だけでなく、スタッフ教育、販売促進、集客、出店計画、店舗設計など、美容室の経営をトータルでサポートしています。近年では、美容業界のさらなる発展に寄与するために、デジタル化を軸とした取り組みを推進しています。
そうした中、同社のプラットフォーム推進部は、美容室の売上への貢献と同社の営業スタイルの変革を目指す「サロンCRM戦略」を掲げ、美容室の経営に特化したクラウド型CRM製品 POS lab(ポスラボ)を2016年より提供しています。タブレットのアプリとして店舗で容易に使えるPOS labは、カルテ管理、予約管理、顧客分析、会計、帳票分析など美容室の経営に必要な多くの機能をオールインワンで実現しています。POSデータと顧客・施術情報がシームレスに紐づいていることから、ロイヤリティの高い顧客や課題をデータから正確に抽出することができ、最適なリピート施策やメニュー展開により美容室の経営に貢献することができます。
「POS labには、ダリアの営業スタイルを革新するツールとしての役割があります。お客様である美容室との関わりにおいて、卸売業としての『モノ売り』だけではなく、メニュー提案やCRM活動を通して美容室の売上に貢献するという新しい営業文化を創るためのツールです。このような美容室に寄り添った働き方や関わりがお客様から評価され、競合他社との差別化になり、結果としてダリアが継続的な取引先として選ばれる理由に繋がると考えています。また、拠点ごとに営業担当者を選抜して毎月開催しているCRM PROJECTの中で、CRM導入後の生産性を統計値で見ていますが、CRMの導入とデータを基にした裏付けのある提案活動が美容室の売上向上とダリアのビジネス全体に貢献できることが判りました」(町田氏)
そのため、プラットフォーム推進部のCRMチームは、営業担当者の社内教育にも注力しています。
「従来のPOSシステムだとデータ活用が十分ではないことが多かったのですが、POS labでは、導入だけでなく導入後の動きも大事にしており、営業活動の中でデータを積極的に活用して提案しています。競合他社が市場全体のデータをもとに提案する中で、ダリアはお客様の美容室ごとのデータを分析し、課題を明らかにして、より具体的な提案ができますので、大きな差別化になります。CRMのデータをもとにお客様と話せる営業担当者を、社内教育を通してもっと増やしたいと考えています」(浦屋氏)
問い合わせ対応の負担軽減とチャットボットの導入
しかし、POS labの導入店舗の拡大のためには、解決しなければならない大きな課題がありました。それは、導入数の増加に伴い増え続ける問い合わせ対応の負担軽減です。
「サポートのコールセンターはご用意していますが、美容室でお困りごとがあった時に、日頃からコミュニケーションが取れている営業担当者に直接問い合わせが入り、担当者自身が対応に時間を取られてしまったり、定期訪問の際もPOS labの対応に時間を取られ、本来、行いたかったご案内や提案ができなかったりすることがありました。さらに、美容室だけでなく営業担当者から社内に対して問い合わせが入ることもあり、CRMチームの負担が大きくなっていました。また、美容室側にとっても、トラブル発生時にコールセンターに電話してもすぐに繋がらない、電話で疑問点を伝えるのが難しい、といったケースも多く、緊急時にすぐに問題解決できないことが少なくありませんでした」(町田氏)
このような問題が顕在化する中、同社は問い合わせのファーストコンタクトとしてチャットボットの導入の検討をはじめました。ファーストコンタクトをチャットボットにすることでセルフサービスの問題解決を促進し、美容室への迅速な情報提供はもちろんのこと、営業担当者やCRMチームの負担を軽減し、本来の業務が円滑に行える環境を整えたいと考えたのです。
そして、LINE認定パートナーであることから、JTPのAIチャットボット Third AIがすぐに候補に挙がりました。他にも、Webベースのチャットボット製品が候補になりましたが、誰にとってもなじみのあるLINEから利用できることから圧倒的に利便性が高いという判断となり、最終的にThird AIが選ばれました。
「美容室で営業中に美容師さんがWebサイトを開いて問い合わせをするというのは難しいと思います。LINEはすでにインフラと言えるくらい普及していますし、なじみのインターフェース上でやりとりできた方が、美容師さんにとっても使い勝手がいいだろうと考えました。LINEであれば、タブレットやスマホからでもすぐに利用できますし、この利便性の高さが大きな判断材料となりました」(町田氏)
カスタマーサクセスによる導入支援と運用ノウハウの社内定着
Third AIの導入がスタートしましたが、同社のCRMチームはチャットボットの利用がはじめてだったこともあり、実装について専門的なサポートを得るために、JTPのカスタマーサクセスを利用しました。
「当初、コールセンターに蓄積された問い合わせデータのランキングから重要なものを厳選し、そこから細分化して約100個のQ&Aを準備して進めていました。しかし、美容業界特有のものですが、例えば『カルテ』など同一の単語で違う意味を持つ場合などに、文字だけで回答しても理解してもらうのが難しいという課題が出てきました。これに対して、JTPからの支援により、動画、画像、資料の3つで回答を用意することに決め、単語のゆれについては、ドリルダウン式のボタンを用意して、美容師さんが適切な回答にたどり着けるようなインターフェースを実装できました」(原氏)
カスタマーサクセスを利用したことで、同社のCRMチームにチャットボット運用のノウハウが定着し、製品のバージョンアップにともなうQ&Aのアップデートや継続的なコンテンツの追加を内製で行えるようになりました。さらに、回答として用意した動画、画像、資料にチャットボットから直接アクセスできるようになったことで、営業担当者と社内のCRMチームの負担の軽減に貢献しています。
「従来、美容室からの問い合わせに対して、営業担当者やCRMチームのメンバーがPCの中から資料を検索して、必要な情報を抜粋し説明文を加えた上でLINEやメールで回答していたのですが、この作業が大きな負担となっていました。今回、回答として動画、画像、資料を拡充して格納先のフォルダを可視化できたので、問い合わせの際に対象となる回答をチャットボットから転送できるようになり、営業担当者とCRMチームの負担を軽減できました」(浦屋氏)
定量的な数値に表れたチャットボットの導入効果
そして、2021年11月に本番稼働を開始したThird AIは、POS labのサポートに画期的な改善をもたらしました。現在、POS lab導入店舗の約78%がThird AIを利用していますが、お客様である美容室、社内の営業担当者からの評判もよく、定量的な数値として導入効果が表れています。
「現在のところThird AIの応答数は月平均で約130回ですが、この数の問い合わせを減らせたということは大きな効果と言えます。また、コールセンターへの入電数を、Third AI本番稼働前後で比較すると、約26%削減できたことが判りました。これにより、美容室、社内の営業担当者とCRMチームの負担が減り、時間の有効活用や迅速な問題解決に繋がっていると感じています。営業日報からの抜粋ですが、POS lab導入後2ヶ月経った美容室から一度も問い合わせがなかったため、POS labを使ってもらえていないのではと不安になりお客様に確認したところ、チャットボットをフル活用いただいており、電話よりも動画や資料でわかりやすいため、問い合わせが不要だったと回答をもらったとのことです。Third AI導入後は、大きな問題となっていた問い合わせ対応の負担を確実に軽減できているので、今後、ダリアとして事業拡大をしていく上でも、人員を増やさずにサポートを提供できる点が最大のメリットだと考えています」(町田氏)
チャットボットの情報発信ツールとしての新しい活用方法
さらに、同社はThird AIに、サポートのセルフサービスによる問題解決だけでなく、新しい活用方法を見出しています。それは、リテンションを目的とした情報発信ツールとしての活用です。
「Third AIの導入により、LINE上で多くの美容室・美容師さんと直接繋がることができているので、従来、営業担当者が対応していたお客様への情報発信を社内のCRMチームからダイレクトに行えるようになりました。例えば、製品のバージョンアップの際は、営業担当者が直接店舗を訪問してご案内していたのですが、今では、CRMチームからThird AI経由でスピーディーに提供できています。今後は、単なるQ&A対応だけでなく、美容室におけるCRM戦略のプラットフォームとして他店での取り組み事例、他店の成功インタビュー、新機能リリースなどの情報を格納して、より多くの美容室に満足いただき、継続的に利用いただける環境を創っていきたいと考えています」(町田氏)
最後に、チャットボットの導入を検討されている方向けに、導入による経営面でのベネフィットについて強調します。
「案件の拡大=問い合わせ数で悩んでいる企業は多いと思いますが、コールセンターや部門の人員を増やすという対応だと生産性が悪くなりますので、チャットボットにより人員を増やさず対応頻度や効率をアップできるというのは経営にとっても影響は大きいと思います。」(町田氏)
JTPは、さまざまな業界へのチャットボットの導入、長年に渡るテクニカルサポートの提供実績を通して育まれたベストプラクティスを集結し、今後も同社プラットフォーム推進部のサロンCRM戦略をサポートしていきます。
- 株式会社ダリア
- 本社所在地: 福岡市博多区博多駅南4‐3‐25
- 事業内容: 美容材料、美容器具、化粧品、健康食品等、業務用化粧品の卸売
- Webサイト: https://www.dalia.co.jp